【 これはわたしの、卒業宣言です 】
これは摂食障害に7年間苦しんだ女子大生の、超イケてる『卒業宣言』です。
その① 【 D girls mtg~あなたの価値は、何キロですか?~ 】
その② 【 7年間のわたしって、結局なんだったんだろう。 】
その③ 【 変えるのは社会じゃない。わたし自身が変わらなきゃ。 】
その④ 【 最後に、摂食障害で悩む女の子たちに言わせてくれ! 】
その⑤ 【 卒業宣言。ありがと!7年間のわたし👋 】
( まほろ 21歳 )
その① 【 D girls mtg~あなたの価値は、何キロですか?~ 】
このイベントを見た保護者たちからメッセージが届いた。
「医者やカウンセラーに大金を払って何年も通ってるのに治らない。それがただの女子大生がやる、仲間集めの会で治るのか。受験の夏、もし症状が悪化したらこの子の人生に責任が取れるのか。」
わたしは何も言い返せなかった。
こうゆう集まりは中年女性がほとんどを占めると言われてる中、一番若い子で中学生、参加者のほとんどが20歳前後。このコンセプトも前例が見つからない。
わたしは団体に所属したり、そうゆう活動をしてたわけでもない。ただ会いたいって言ってくれる人がたくさんいたから、個人的に開催した。わたしにできることが限られてるのは、一番よくわかってた。
何より、若い女の子たちが自分の意思でお金と時間をかけて来てくれる。みんなが希望を持って来ることも知ってた。
プレッシャーなんて言葉じゃ言い切れないものに、毎日追われてた。
でも終わってみて思うのは、やってよかったなってこと。
九州、四国、中国、中部からわざわざこの4時間のために来てくれた子たちがいた。誰一人にも話してない子たちが勇気を出してくれた。女子高生が、親に泣きながら何度も参加の許可をお願いしてくれた。会場まできてお願いしますって言ってくれたり、終わるのをずっと待っててくれた保護者がいた。
ただの女の子たちじゃない。摂食障害を抱える女の子たちがいろんなものを乗り越えて会いにきてくれたおかげで、素敵な友達ができた。
今回なんでわたしがここまで「女子会・女の子」にこだわったのか。
前に精神科で、話してる最中にパニックを起こす人をみて、わたしと「同じ人」なんていないと思った。わたしは「摂食障害」なんて名乗っちゃだめなんだって思ったし、そうゆう人たちと同じ場所にいて同じ症状を抱えている自分に、すごくショックを受けた。
でも独りじゃ治せなかった。
だから「病人」って認めてもらうために、病院に行く時はわざと化粧はしなかったし、服もできるだけダサいものを選ぶようにした。そこにいるべき人になろうと「努力」した。
講演会やセミナーにも行けなかった。高校生のわたしには摂食障害を「解説」されることは難しかったし、堅苦しい会には参加したくなかった。
もし高校生の頃こんな女子会があれば、わたしはこの7年間もっと違う人生を過ごせたんじゃないかなってよく思う。この7年間で失ったものは、それだけ大きかったから。もしかするとこの女子会は、7年前のわたしを、わたしが助けてあげたかったのかもしれない。
あのときのわたしみたいに、いつもは普通の女の子で、だからこそ誰にも言えなくて困ってる女の子たちが来れる場所にしたかった。
それに、女の子を楽しむことが摂食障害を手放すことにつながるって気づいたから。
治せとか下剤をやめろなんて誰でも言える。でも女子大生のわたしだからこそ伝えられることを伝えたかった。
原因は人によって全然違うけど、わたしの周りには「痩せたい」ってゆう強い思いから摂食障害になった人が多い。でもきっとほんとは、「痩せたい」が全てじゃない。「痩せてきれいになって人に愛されたい。認められたい。」きっとほんとの欲は、ほんとになりたい自分は「痩せたわたし」じゃなくて、その先にある「わたし」。痩せることがゴールじゃないのに、痩せたら全部うまくいく気がして、痩せることだけに集中しちゃう。
だからこの女子会をとおして、本当の欲とか、本当になりたい自分に気づいてほしかった。
その思い通り、女子会に参加するって決めた子たちのツイッターが毎日変わっていく。
今まで書かれてたのは、食べること・増えた体重・嘔吐や下剤のこと。24時間摂食障害についてだった。
それが開催までの毎日、誰かから必ず報告が届く。
今日3年ぶりに洋服買いにいったよ~!女子会のために初めてワンピース買った!美容院でトリートメントしたよ!ネイル初めて塗ってみたの、みて!ワンプレートご飯始めたよ~!
そこにいたのは「摂食障害の子」じゃなくて、間違いなく「一人のイケてる女の子」だった。
多くの女の子が、女子会に向けてやせることからきれいになること、女の子を楽しむことにシフトして、摂食障害から離れていった。
自分にお金と時間をかければかけるだけ、自分にちょっと自信が持てる。自信がつくと、ちょっと自分が好きになる。自分のことが好きになれば、自分にちょっと余裕ができる。だから人に対しても優しくなれる。
それを伝えるためには女子会じゃないとだめだった。
あとね、「摂食障害の女の子」として関わるお医者さんとかはもちろんだけど、それ以上に「野邉まほろ」として向き合ってくれた人たちのおかげで、わたしは変われた気がする。だから、「1人の女の子」として「友達」になる「女子会」なの!
( ※ 医者や専門家、大人を批判したいわけじゃない。実際にそうゆう人のおかげで完治した人はいっぱいいるし、わたしも通院してた!ただなった原因がみんな違うんだから、治すきっかけも違うってこと!それぞれが自分に合う方法で前に進めたらいい!それはわたしだけじゃなくて、みんなきっとそう思ってる。)
今回年齢、場所、日程の都合で来れない子がほとんどだった。日程の変更とか場所の追加をお願いする問い合わせは200件を超えた。
200人の思いを抱える勇気はまだないけど、その1人1人の思いと、超超超イケてるスタッフと参加者のおかげで開催することができました。ほんとに、ありがとう。
その② 【 7年間のわたしって、結局なんだったんだろう 】
今の世界はなんでも自分が思うように変えられる気になる。思い通りになる気がする。
プリクラの中でのわたしは、目がぱっちりで足は細くて。カラコンで盛れるし、マツエクやアイプチで思うような自分になれる。写メの加工でわたしのニキビはなかったことになるしね。
うざい人がいればブロックしたり非表示にしたり「削除」して、なかったことにできる。自分にとって「いい」友達を選べるようになった。
わたしは理想のわたしに変われるし、わたしの周りだって思い通りに変えられる。・・気がする。
でもほんとは、わたしは「わたし」にしかなれない。わたしは「わたし」から逃げられない。
わたしの周りだって、自分の思い通りに全部いくなんてありえない。自分がどんだけ頑張っても理不尽なことで怒られるし、家族にも口うるさく将来のことを言われる。今日こそは早起きして走ろうって思ってたのに、朝から豪雨だったりするし。友達には急に無視されるし、彼氏にだって浮気される。愛してほしい人には愛してもらえないし、思いがけないときに大切な人を失ってしまう。
わたしがコントロールできる「わたし」も「世界」もほんとは存在しない。それが現実。
わたしはきっと7年間、思い通りにならないことから逃げ続けてたんだと思う。
これからはもっともっと「思い通りにならないこと」に対して強くなりたい。「思い通りにならないこと」をなかったことにしたり、見えないようにしたり、無視したり、距離をとったりして逃げるんじゃなくて、もっと立ち向かえる強さを持ちたい。
自分の弱さを認めるってゆうけど、認めてあげるのは「摂食障害のわたし」なんかじゃなくて、「思い通りにならなかったこと」。それに対していらいらして食べてしまう自分。きっと認めてあげるのも許してあげるのも、そこなんだと思う。
その③ 【 変えるのは社会じゃない。わたし自身が変わらなきゃ。 】
もしわたしが人と関わらない世界を選べるのなら、きっと摂食障害なんかにならなかったと思う。でも生きて行く以上、わたしは人と関わり続けなきゃいけない。人と向き合い続けなきゃいけない。
人と関わる以上自分と周りを比べて劣等感を感じるだろうし、必ずどこかで誰かに評価される。だからわたしがそれに負けないように変わるしかない。
この先も痩せを賞賛する文化は続くかもしれないし、マシュマロ系女子が次はくるかもしれない。でもそれはわたし1人がコントロールできる問題じゃないし、きっと流れはぐるぐる回る。だからどんな風にまわりが変わろうとも、わたしがぶれないようにするのが一番。
わたしがこの世界で生きていく以上、摂食障害と闘い続けなきゃいけない。
だから、
わたしがこの世界で生きていけるように、強く変わっていかなきゃいけない。
その④ 【 最後に、摂食障害で悩む女の子たちに言わせてくれ! 】
もし辞めようとしなければ、摂食障害を許してしまえば、傷つかないでいいのかもしれない。辞めようとするから、普通に戻ろうともがくから、苦しい。でも、絶対に治してほしい。しんどくても、もがき続けてほしい。
摂食障害で悩む多くの女の子たちに言いたい。
そんなに食べなくても、空いた心の中を埋めてくれるものは世界中にたくさんある。
そんなに出さなくても、あなたを認めて愛してくれるひとは世界中にたくさんいる。
摂食障害に頼らなくても、ちゃんと周りを見渡せばわたしたちの周りには助けてくれる人がたくさんいる。そこから距離をとって閉じこもってたのはわたしのほうだった。
わたしはいつも、失ったものばっかりに囚われすぎて、今あるものの存在に目を向けれないでいた。無くしたものを嘆くより、今あるものに気づくこと。その方がよっぽど幸せな毎日になるよね。
その⑤ 【 卒業宣言。ありがと!7年間のわたし👋 】
今のわたしと高校生のわたし、もし選べるのならわたしは迷わず今を選ぶ。10kg以上太ってるけど、今のわたしの方が確実に好きって言える。
もちろん痩せたい欲はなくならないけど、下剤の痛みに苦しみながら幸せそうな周りの人を見て、「なんでわたしだけ」って妬むわたしより、
自分を傷つけたり苦しめたりするためじゃなくて、自分を好きになるためにお金や時間を使って、自分にも人にも優しくできるわたしの方が、何百倍もすき!
「わたしの価値は、何キロですか?」
きっと今までのわたしはこう答えたはず。
わたしの価値は、体重です。体重が増えれば無くなるし、減れば価値が生まれます。何キロかによって、わたしの価値は決まります。
でも今のわたしは違う。7年前のわたしに戻ることも、絶対にない。
2ヶ月間で出会った人は400人近く。わたしがきっかけで摂食障害を手放せたってゆってくれた人は現在約30人。摂食障害専用アカウントを消した人は約50人。症状が以前より改善した人は200人を超える。
料理学校に通ってる女の子たち。嘔吐してたり食べられない自分が人に料理を出す資格はあるのか。このまま学校に通ってていいのか。そう迷っていた子たちは今、卒業を目標にもう一度頑張ることを決めた。
何年も嘔吐がやめられず、食べることだけで頭がいっぱいだった女の子たちは、子供に食べることの大切さを教えるために保育士を目指したり、摂食障害者のための施設で働くために大学に復学したり。自分の「将来」のことで頭がちょっとずつ埋まっていってる。
今わたしの周りには、こうして一人の女の子として輝こうとしてる、超イケてる女の子たちがたくさんいる。
わたしたちは独りじゃない。だからもう、摂食障害は必要ないね。
世界中の人たちがいつかおいしいご飯をお腹いっぱい食べて、「ごちそうさま」って心から笑って言える日が来ますように。
7年目の今日8月27日、超イケてる女子大生として、過去の弱さも苦しさもこの先引きずることなく、絶対にもう摂食障害には戻らないことを心から誓います!!!
これはわたしの、卒業宣言です。
あなたの価値は、何キロですか?
ーーーわたしたちの価値は、体重なんかじゃ決まらない。
わたしは、摂食障害「でした」。 2015.08.27 野邉まほろ